巨大プラットフォーマーが独り勝ちする時代が来るのだろうか?

 

 

楽天市場の送料無料を巡る騒動

国内最大級の通販サイト、楽天市場が揺れている。

 

 

今年3月から、3980円以上購入した利用者への送料を一律無料にするとした楽天の方針の撤回を求め、出店者らの団体が公正取引委員会に直訴したのだ。出店者の代表団体である楽天ユニオンは、送料分を出店者が負担することを楽天が一方的に決めたのは、独占禁止法で禁じられている特権的地位の濫用に当たると訴えている。

 

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この訴えは当然のものだろう。勝手に送料無料にして、「でもその資金は楽天では一切負担しません」なんて言われて出店者たちが納得するわけがない。楽天は言ってみれば、他人のお金でばらまきキャンペーンを始めようとしているのだ。

 

 

出店者の中には、送料無料化によって現在の販売価格では赤字になるという業者もいる。そういった業者は当然、送料分を上乗せして販売するか、楽天市場への出店を取りやめるかという選択を迫られることになる。それは消費者にとって、楽天市場での買い物が高額化する一方で、商品のバリエーションは低下することを意味する。

 

 

つまり、送料無料化は一見すると消費者にとってプラスであるように感じるが、実際は出店者と同様に消費者も負担を強いられているということだ。

なぜ楽天は送料を無料化したいのか?

それなのになぜ楽天は送料を無料化したいのか?

 

 

楽天市場では約5万店の出店者がそれぞれ配送料を設定するため、配送料が店によってバラバラという状況になっている。これは消費者にとって、同じプラットフォーマーであるAmazonと比べて楽天市場が利用しづらい原因になっており、楽天市場の弱点とされてきた。楽天はこの差を埋めるために、送料一律無料のラインを設けようとしているのだ。

 

 

つまり、出店者と消費者に負担を押し付けて、楽天だけが利益を得ようとしているということだ。

 

 

Amazonジャパンの類似騒動

振り返ってみると、去年の今頃も似たような問題が起きていた。

 

 

去年2月、Amazonジャパンが販売価格の最低1%分のポイントを購入者に付与するキャンペーンを発表した。Amazonで販売される商品にはAmazonの直販商品と、出品者が販売する出品商品の2種類があり、このキャンペーンではどちらの商品でもポイント還元の対象としていた。問題は、出品商品の購入者に付与するポイントの原資を出品者に負担させようとしたことだった。

 

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これが独占禁止法で禁じられている優越的地位の濫用に当たるのでは?という批判の声が上がり、公正取引委員会は調査を開始した。結局、4月10日にAmazonジャパンが方針を撤回して、商品をポイント還元の対象にするかを出店者の任意としたため、11日になって調査は打ち切られた。

プラットフォーマーが強気化している?

今回の楽天の騒動と去年のAmazonジャパンの騒動を見て感じるのは、プラットフォーマーが出品者にも消費者にも強気になってきているということだ。

 

 

誰がどう考えたって、勝手にポイント還元のキャンペーンや送料無料化を計画してその負担を他人に強いるというのは筋が通らないことだ。楽天やAmazonの優秀な社員たちがそんなことに気づかないはずがなく、「独占禁止法に反するのでは?」という考えにも当然至っただろう。それでもこうした行動に踏み切ったのは、出品者や消費者がどれだけ反発しようと、結局彼らが自分たちのサービスからは離れられないだろうという自信の表れのように感じる。

 

 

そして残念ながらその通りだ結局僕たちは楽天からもAmazonからも離れることはできない。それほどまでにプラットフォーマーが提供するサービスは僕たちの生活に欠かせない存在になっており、彼らの営業方法が道義に反しているなんて理由でサービスを使わなくなるには、あまりにも便利すぎるのだ。現に僕はAmazonジャパンのやり方に反発を覚えた人間の一人だが、相変わらずAmazonで買い物をしてプライムビデオを観まくっている。去年の騒動でAmazonジャパンに反発した多くの人もそうなのではないだろうか?

 

 

今回の楽天の騒動でも楽天に対する反発の声はあるが、それを理由に楽天市場の利用をやめるというユーザーはほとんどいないだろう。出店者の方は、自社ブランドの強みがある企業は自社サイトのみでの販売に切り替える動きも出ているが、5万を超える出店者の中ではほんの一握りだ。楽天市場がAmazonに勝てるかは別として、楽天市場の強大な地位は揺らがないとみていいだろう。

 

 

今後の展望

Amazonジャパンの騒動では、公正取引委員会の調査が入ったことによってAmazon側が譲歩した。独占禁止法の優越的地位の濫用として取り締まりを受ける恐れが高いと判断した結果だろう。

 

 

楽天の騒動に関しても、公正取引委員会は会見で

 

 

「オンラインモール運営業者が出店者に対して優越していて、その場合に不当に不利益を与えるようなやり方で取引条件を変更する場合は、独占禁止法上の優越的地位の濫用に当たる可能性がある。」 

 

 

と、楽天にくぎを刺すようなコメントを残している。

 

 

今回も恐らく、楽天側が送料一律無料ラインの設定を見送る形で終わる可能性が高いだろう。

 

 

なぜなら、ここで楽天に甘い顔を見せてはAmazonのような海外プラットフォーマーへの取り締まりを強化していきたい日本にとって、将来的に大きな弱点となるからだ 。

 

 

見せしめという表現は言いすぎだが、今回のような問題を見逃せば消費者や出店者に不利益を与えてプラットフォーマーが利益を出すことを認めることと同じになるため、厳しい態度で臨んでほしいと思う。

 

 

もし今回の問題がお咎めなしになれば、巨大プラットフォーマーが消費者や出品者を圧迫する未来が近づくことになるだろう。

 

追記(2020/2/7)

更新が遅くなりましたが、三木谷社長が公正取引委員会に宣戦布告しましたね。

 

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ここまで法のギリギリのラインを攻めなきゃいけない時点でプラットフォーマーとしてのAmazonとのシェア争いは勝負ありだと思うのですが、どうなんでしょうかね?

 

引き続き注目していきたいと思います。