『ひとりで生きていく』ヒロシが語る「お金」と「見栄」の哲学

ヒロシというお笑い芸人を覚えているだろうか。

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芸人兼ソロキャンプYouTuberのヒロシ


「ヒロシです...」のネタで一世を風靡した彼はテレビで引っ張りだこになり、最盛期の月収は4000万円に及ぶほどの人気を博した。

 しかし、やがてテレビ出演の機会は激減し、いわゆる「一発屋芸人」としてごくたまにテレビで見かけるだけの存在になった。

 

そんな彼が最近、以前とは別の舞台で注目と人気を集めているという。

現在の彼は、チャネル登録者数50万人を超える「ひろしちゃんねる」を運営する「ソロキャンプYou Tuber」として活躍しているのだ。

そして今月2日には、「50歳、未婚、彼女・友達なし」である自身の生き方について語った著書、「ひとりで生きていく」を出版した。 

 

 

YouTubeでの活動や著書の中で語られた内容に、「お金」と「幸福」について考えるいいヒントがあるように感じたので紹介したい。

高級車に乗るのは神田うのと結婚するようなもの

ヒロシがYouTuberとして活動し始める以前の話だ。

芸人として売れはじめたヒロシは、四畳半のアパートから港区にある家賃40万円の2LDKのマンションに引っ越した。

家具は60万円もするソファやクイーンサイズのベッドを買い、車はジャガーに乗るようになった。

 

周囲から見てわかりやすい成功の証が欲しかったという。
しかし、車を修理に出しに行ったところ総額で百数十万円もかかると言われ、針金一つでも6万円の修理代がかることに驚かされたという。

あまりの高さに修理代を渋りつつも、「ジャガーには乗り続けたいんですよね....」と言うヒロシは、「じゃカーに乗り続けるのは、神田うのと結婚するのと一緒ですよ。」と言われハッとしたという。

 

神田うののような美人でセレブな女性を養うのであれば、安い総菜やインスタント食品で満足させることはできない。

セレブに見合うだけの高級料理を食べさせなくてはならないし、身の回りの道具も高級品が求められるだろう。

ちょっとやそっとのお金持ちでは届かない、高嶺の花なのだ。

 

彼はその時になって、自分が住んでいる高級マンションも、乗っていたジャガーも、すべてが見栄による買い物であったことに気づいたという。

彼が購入した革張りの3人掛けソファはいつも座る片隅の部分だけが黒く汚れ、そのソファが自分の生活に必要なもの以上であったことを思い知った。

 

お金があるからといって家賃の高い家に住み、必要のないブランド物を買い、高級車を買う。どれも典型的な「浪費家」のお金の使い方で、結局のところすべて見栄であると彼は言う。

「自分の見栄で使うお金には際限がない。この見栄と、戦っていかなければならないのだ。」

節約はエンターテインメント

ヒロシのYouTubeチャンネルでは、彼が一人でキャンプをする様子が公開されている。

特徴的なのは、キャンプで使う道具が決してブランドものばかりではないことだ。

ブルーシートで簡易テントを作ったり、ブランドものなら2000円以上する食器を100円のもので代用したりと、「お金をかけなくても楽しめる」キャンプの様子が映されている。

 

高いお金を払えば「いいもの」を買えたり「いい経験」ができたりするのは、高級な食材を使えばよほどの料理下手でもない限り美味しい料理を作れるのと同じで、ほとんど当たり前と言ってもいい。

しかし、そうした消費は無駄使いにつながりやすく、創意工夫もないとヒロシは語る。

 

工夫をこらして安い食材でも美味しい料理を作れるのがいい料理人であるように、

安いもの「なのに」工夫によって楽しさを生み出す消費こそが「いい消費」なのだ。

節約=ケチではなく、賢く生きるということはお金を必要としないということなのだ。

 

私たちはインフルエンサーの影響を強く受け、お金をかけるだけで得られる「いいもの」、「いい経験」を求めてしまいがちだが、お金をかけずに同じクオリティを求める工夫にもまた価値があるということを覚えておくべきだ。

お金がすべてじゃない

金持ちになって言ってみたい言葉ナンバーワンを、ヒロシもまた言っている。

 

僕たちはお金があれば何でも手に入ると思っているはずだ。僕ももちろんそう思っている。

お金があれば良い家に住み、行きたい場所に行き、食べたいものを好きなだけ食べられるだろう。

美人な女優やモデルと結婚するのも、少なくともしがないサラリーマンに比べたら簡単だろう。

 

ヒロシもまた、 芸人として売れればほしいものすべてが手に入り、きれいな女優とも付き合えて幸せになれると思っていた。

しかし、振り返れば無駄でしかなかったものを買い、女優と付き合うこともなかった。

 

お金がない人に「お金がすべてじゃない」と言っても響くことはない。

お金持ちになったことがない人が「お金がすべてじゃない」と信じようとしても、だんだんと現実逃避をしているような虚しい気分になるものだ。やはりお金を実際に手に入れてみない事には「お金がすべてではない」などとは思えないだろう。

 

だからこそ、どんな人も貯金をするべきだとヒロシは言う。

独身であれば年収300万円でも節約生活で1年で100万円貯めることはできるし、それを5年続ければ500万円という大金になる。

そうしてお金を貯めることができれば気持ちに余裕もでき、「お金がすべてじゃない」と気づくだろうというのだ。

「お金があればやりたい」ことは、「お金がなきゃできないと思っている」こと

僕たちは無意識のうちに、お金がなければできることは限られていると思い込んでしまっているのかもしれない。

 

「お金があれば何をしたい?」と聞かれたとき、「海外を旅したい」とか、「美味しいものを食べたい」と答える人は多いだろう。

逆に言えば、そういう人たちはこれらのことをするためにはお金が必要であるという先入観にとらわれているとも言える。

 

海外旅行が高いというイメージがあるのは代理店が用意するコースを利用しようとしているからで、少し手間をかけて宿泊先やチケットを自分で用意し、ルートやスケジュールを自分で決めればはるかに安く海外を旅できる。(ちょっとしたライフハックだが、英語が多少読めるなら旅行先の国のサイトで航空チケットをとるとかなりの節約になることがあるので試してほしい。)

 

高級レストランの料理が高いのは、それを作るシェフや料理を運ぶウエイターたちの人件費と、きれいな景色のために土地代が上乗せされているからだ。

高級レストランの食事代の半分でも自炊の材料費に充てて、いつもよりいい食材で料理をすれば十分美味しい食事ができるだろう。

 

このように、僕たちは少しの工夫で高いクオリティを手にれられるのに、お金をかけなければそれが手に入らないという錯覚を抱いているのだ。

この錯覚に惑わされることなく、少しの手間と工夫をする人は幸福度も高くお金を貯めることもできるが、この手間と工夫を惜しむ人は必要以上に高いお金をとられて搾取され、「もっとお金があれば...」という思いだけが積み重なる人生を送るのかもしれない。

お金を稼ぐことよりも見栄を捨てることがお金持ちへの近道

 ヒロシが繰り返し使っていた「見栄」というキーワードを、僕たちはもっと意識して生きる方がいいだろう。

 

見栄があるから、いいスーツを着たいし、いいブランドを身に着けたいし、いい家に住んでいい車が欲しくなる。

 

そうした見栄のための消費で幸せになれるのならもちろん結構なことだが、見栄のための消費とは結局のところ「他人のための消費」なのではないだろうか。 

 

見栄とは周囲が自分をどう見るか、どう思うかというところが起点になった感情であり、それは自分の内側から湧いてくる感情ではない。

見栄のための消費とは他人のための消費だから、自分の感情が満たされることはなく、後から振り返ると虚しさしか残らないのだろう。60万円のソファの片隅しか使っていなかったことに気が付いた時のヒロシのように。

 

「お金持ちになるためにどう稼ぐか」ということを多くの人は考えるが、収入を伸ばすことよりも支出を減らすことの方がはるかに簡単だし結果もすぐに出る。

そして現状の支出に「見栄のための消費」があるなら、そこを削ることがお金持ちへの第一歩になるだろう。