人間の体の60%以上は水であると言われることからもわかるように、体にとって水はとても重要な存在だ。
しかし、僕たちは水分補給の大切さとその高い健康効果を十分に理解しているとは言えない。
十分な水分補給は、ビタミン剤よりも風邪を防ぎ、高価な化粧水よりも肌の潤いを保つ。
冬が近づいているこのタイミングでもう一度水分補給の大切さを確認したい。
水分補給は最強の風邪予防
風邪のメカニズム
そもそも風邪をひくのはなぜか、ということを理解しなくてはならない。
風邪の原因の8割~9割はウイルスによる感染とされており、僕たちは空気と一緒にウイルスを吸い込んでいる。
しかし、口やのど、鼻の粘膜がウイルスを含む異物をキャッチし、感染から体を守っている。
うがいの効果とは、喉の粘膜がとらえたウイルスを体外に排出できることにあるのだ。
ただし、人間の体には異物を体外に排出する繊毛運動と呼ばれるシステムがもともとあるため、うがいができなかったとしてもそれほど問題はない。もちろんやるに越したことはないが。
それではなぜウイルス感染を起こして風邪をひいてしまうかと言うと、冬のように乾燥した空気を吸っていると粘膜の水分が失われ、この繊毛運動の効果が十分に発揮されなくなってしまうことが原因だ。
水分補給が粘膜の働きを維持する
逆に言えば、粘膜の潤いを保つことが大きな風邪予防になるということだ。
水分補給をしたり、マスクを着けてのどの潤いを保つことで繊毛運動の効果が維持されるのである。
ちなみにうがいをせずに水分を飲んでも、水と一緒に胃に入ったウイルスは強酸性の消化液で殺菌されるので問題はない。
冬は夏と比べてのどの渇きを感じにくく、多くの人が水分補給をほとんどしない。
しかし、厚着をして外出する冬は意外と汗をかいており、自分で考えている以上に体内から水分が失われている。
大切なのはのどの渇きを感じる前に水分をとることで、気が付いたら一口飲むくらいでちょうどいい。
少し手間のように感じるが、わずか数秒でできることで何日も風邪で寝込むリスクを減らせるなら十分な費用対効果と言えるだろう。
美容にも水分補給が効果的
代謝には水が必要
人は何もせずにじっとしている時でも、心拍や呼吸、体温維持などを行って、生命活動を維持するためにエネルギーを消費している。これが基礎代謝だ。
冬の基礎代謝が夏よりも上がるのは、気温が低いため、体温維持のために熱の産生が活発になり、必要エネルギー量が増えるからだ。
そもそも代謝とは、生命活動に必要なエネルギーや物質を作り出し、不要になった物質を分解する働きのことだ。
代謝には様々な物質を溶け込ませて体中を巡ることができる溶媒、すなわち水が必要不可欠である。
すなわち、体内の水分が不足するということは代謝が不活性化し、体に必要なエネルギーや物質が不足する一方で不要な物質が体内に溜まってしまうことを意味する。
水は肌をきれいにして潤いを与える
代謝に水が必要な理由はお分かりいただけただろう。
では、十分な代謝が肌に与える影響とは何なのだろうか。
始めに断っておきたいが、水を飲むだけでは肌はきれいにはならない。
適度な運動をし、たばこは吸わず、酒もほとんど飲まず、野菜や果物をしっかりと摂る健康的な食生活が大前提である。
この上で十分な水をとることで代謝が活性化し、肌の老廃物を排出することができるのだ。
多くの人が誤解していることだが、化粧水は肌の深層部までは届かない。
化粧水を塗るという行為は、いわば砂漠に水をまくようなものだ。
当然、砂にしみ込んだ水はやがて蒸発していく。
化粧水とともにオイルを利用することで肌の潤いを保てるように感じるが、あくまでその潤いは表層部のものであり、深層部の潤いは体内に十分な水がなければ保つことはできないのだ。
内側からの水分補給の大切さを示す例の一つが、肌の細胞が入れ替わるときのメカニズムだ。
角質細胞が剥がれ落ちるとき、下層の若い細胞を保護するために水分が必要になる。しかし、こうした働きに使われる水分は化粧水のような「外側からのスキンケア」でまかなうことができない。
この細胞の入れ替わりをターンオーバーと呼ぶが、これを正常に保って美肌の基礎を作るには、「水を飲む」という最も初歩的な行為が重要なのである。
水分補給は美容の絶対解ではないが、基本中の基本だ。
高価な化粧水が完全に無駄とは言わないが、十分な水分補給をしたうえで利用しなければ費用に見合う効果は得られないと思った方がいい。
効果的な水分補給とは?
それでは効果的な水分補給とはどのようなものなのか最後にまとめたい。
効果的な水分補給とは、
- カフェインやアルコールは水分にカウントせず
- 30分に1口を目安に
- 一日に体重1Kg当たり40mlを
- 37~40℃の水で
補給するのがベストだそうだ。
今日から実践したい。
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