アイルランドの歴史を知ってから聴く「Ireland's Call」に涙が止まらなかった

f:id:kenzou_self_study:20191020123659j:plain

 

ミーハーな僕を許してほしい。ラグビーワールドカップに関する記事だ。

 

昨日行われた準々決勝の一戦、ニュージーランドvsアイルランドの試合は、ワールドカップ3連覇を目指す最強軍団、ニュージーランド代表(オールブラックス)が序盤からアイルランドを圧倒して、最終スコア46-14の大差で勝利を収めた。

 

こう書いてしまえばただの準々決勝なのだが、アイルランドの歴史を勉強したあとでこの試合を観た僕は涙が止まらなかった。

 

いや、試合の内容や結果に涙したのではない。

僕が感動したのは、試合前に行われる国歌斉唱の場面だ。

 

ほとんどの国は、当然だが国歌斉唱では国歌を歌う。

しかし、ラグビーアイルランド代表が歌うのは国歌である「兵士の歌」ではなく、ラグビーの代表チームのために用意されたアンセム、「Ireland's Call」だ。

知らない人はとりあえず聴いてみてほしい。↓↓↓


Passionate Ireland's Call Anthem

【歌詞】
Come the day and come the hour
Come the power and the glory
We have come to answer
Our Country's call
From the four proud provinces of Ireland
[Chorus]
Ireland, Ireland,
Together standing tall
Shoulder to shoulder
We'll answer Ireland's call
【和訳】
この日が来た この時が来た
力を持つ者 栄えある者がやってきた
我らがここに集まったのは
我らの国の呼び声に答えるため
アイルランドが誇る4つの地域から
アイルランド アイルランド
共に堂々と立ち並び
肩と肩を組み合って
アイルランドの呼び声に答えよう

 

ご存じの人も多いと思うが、アイルランド島はイギリスに属する「北アイルランド」と、その南にある「アイルランド」という2つの地域に分断されている。

 

これは、プロテスタントが多数派である北部と、カトリックが多数派である南部の対立を背景に1960年代から断続的に発生した紛争の結果、北部はイギリスが統治し、南部は独立した国家になったことが原因だ。

 

これにより、サッカーではアイルランド代表と北アイルランド代表の2つのチームが存在し、それぞれがW杯に出場するという状態になっている。

 

では、ラグビーはどうか。

 

実は、ラグビーにおいては北アイルランドとアイルランド(南部)が統一チームを結成してW杯に出場している。

 

その理由は、アイルランドが南北に分れる以前からアイルランドラグビー協会が発足していたからという説が有力だが、確かな根拠はない。

 

間違いなく言えることは、ラグビーにおいては政治の問題や対立を無視するという決断をアイルランドラグビー界がしたということだ。

 

そう。

ラグビーはアイルランドにとって、南北の平和と友好の象徴となるスポーツなのだ。

 

 

北アイルランド問題はいまだ完全な解決を果たしていない。

 

過去に3500人を超える死者を出したこの問題の火は消えてはおらず、2016年には銃乱射事件が起き、

イギリスのEU離脱問題に際しては再び南北統一を求める声が高まった。

 

しかし、政治的な対立によってどんな事件が起ころうと、ラグビーの試合では南北が「shoulder to shoulder」、肩と肩を組みあって共に戦い、南北のファンがともにそれを応援する。

 

ラグビーは南北アイルランドの人々の心を繋ぐ特別なスポーツであり、統一チームが世界1を目指してワールドカップを戦う姿は多くの人に感動を与えるのだ。

 

国歌斉唱で歌われる「Ireland's Call」は、アイルランド国歌である「兵士の歌」が北アイルランド紛争を想起させることから、南北の統一チームで出場するラグビーアイルランド代表のために作られた歌だ。

 

アイルランドの歴史と、代表チームやサポーターの思いを知ったうえでこの歌を聴くと、僕は思わず涙が出てしまった。

 

アイルランド代表のW杯での最高成績はベスト8。

 

残念ながら今大会でもその壁を超えることはできなかったが、いつの日か優勝を果たし、南北アイルランドの人々の夢が叶ってほしいと思う。

 

そして、ラグビーというスポーツがこの地域にとって、本当の平和を手に入れる大きなきっかけになってほしいなぁと思う、そんな土曜の夜だった。